「あれからあたしなりにずっと考えてた」


「うん」


「ホント。
ホントに、ずっと菊池君のこと真剣に考えてた」


「わかってるっつの。前置きはいいから。で?」


「うん……」


ゴクリと唾を飲んで。


「ごめんなさいっ」


あたしは頭を下げた。


「菊池君の気持ちに応えることはできない……です」


しばらく続く沈黙。


いたたまれなくなって、もう一度謝ろうとしたその時。



「顔、上げろよ?」


想像もしていなかったような優しい声が聞こえた。