まだうちに来て10分も経っていないのに。


「うん。ごめんね。今からバイトの面接なんだー」と両手を合わせる。


「じゃ、オレも……」


立ち上がりそうになった菊池君の肩を、芙美はぐいと押す。


「アンタはもうちょっといなさいっつの」


その様子をベッドの上から呆然と見ていたあたしに、

「じゃね。バイバイ!」

軽く手を振って、芙美は部屋を出ていってしまった。