「つまらなかったり、満たされない高校生活だとしても、それもありなんじゃないか?
“恥ずかしい思い出”も、“ちっぽけな自分”も後になったら『あの頃の自分かっこ悪っ』って、笑い話になるよ」


イッペー君はしばらく黙り込んで、

それから、ハァ……とため息を吐いた。


「たしかに、そうっすね。
オレ……なんか熱く語ったわりに、的を得てなかったというか……。あ……なんか、今、自分がモーレツに恥ずかしいっす」


真崎先生はまたガハハと豪快に笑った。


「まぁ。過去の自分を笑い話にできないお前もまだ“青春”してるってことだろ!」


「うわぁ……。青春とか、マジでやめてくださいよ! もうほんとサムい」


「あはは。けど、オレからすれば、お前も生徒もたいして変わらんよ。悩め、悩め!!」


「マジっすかぁ……。ああ、オレ、真崎先生には一生頭が上がらない気がする……」