「ああ。そうだな」


「それからアイツらと過ごしてるうちに、自然と芽生えてきました」


「うん」


「“こいつらをちゃんと無事に卒業させなあかん”。
それが最低限、オレがすべきことなんだと」



――“無事に卒業させる”


イッペー君のその言葉になぜか泣きそうになって、あたしは唇をかみ締めた。


真面目な話を続ける二人とは対照的に、カーラジオからは、DJのハイテンションな声が響く。



《リクエスト、たくさんありがとう! 今週の第1位は……》



そして今流行りの曲のイントロが流れ出す。



「真崎先生?」


「ん?」


「この曲、歌えますか?」