「正直、オレはお前が教師になったのは意外だった……っつうか。
教育実習には来てたけど、お前、あんまりやる気あるようには見えなかったし。まさか本当に教師になるとはなー」


「あは。なんすかソレ……。
オレ、昔からそうっすよ。結構頑張ってんのに、『やる気なさそう』とかよく言われるんですよね。
ちなみに、先生から見て、オレってどんな生徒でした?」


そう言えば、真崎先生はイッペー君が3年生の時の担任だったっていうのを聞いたことがある。


イッペー君の高校時代が知りたくて、あたしは二人の会話を聞きもらすまいと、耳に神経を集中させる。


「お前は……にぎやかなグループにいて、いつも騒いでたけど、なんかつかみどころがないっていうか。本心が見えないっていうか……。
ちょっと冷めてるのかなぁ……って思うことがあったな。少なくとも熱くなるタイプじゃなかった」


「はは。たしかに」


「それに……。お前にとって、学校は、楽しいだけの場所じゃなかったんじゃないかって……」


「……」


「あの場所に戻るのはツラくなかったか?」