「ふーん。そんなにか」


「ええ。近づきすぎたらアカンのに。だからその距離感に悩みます」


「ふっ。距離感ねぇ……。あ……降ってきたな」


雨が降り出したのか、ワイパーが動き出す音がした。



「よく眠ってるな」


真崎先生の声。


「ええ。そうですね」


イッペー君が助手席からこちらを見ているのを感じた。


タイミングを逃してしまい、目を開けることができないあたし。

なんとなくバツが悪くて、このまま寝たフリをすることにした。



「なぁ。お前は、何で教師になった?」



「え?」