「うわっ。あ、あたし重いから……」


というか、こんなの恥ずかしすぎる。


イッペー君の腕の中で、ジタバタと騒いだ。


「どアホ。病人は静かにしとけ。つか、これ以上騒いだら、落とすぞ!」


ほんの少し腕の力を弱めるイッペー君。


「き、きゃああああ」


おどしかと思ったのに。


本当に落とされそうになって、思わずイッペー君の首に腕を回してしがみついてしまった。


こんなのありえない。

今までで一番体が密着してるし、顔の距離が近い。



「ちゃんとつかまっとけよ。オレ、力ないし、落とすかもよ?」


意地悪っぽく囁くイッペー君の声が耳元で聞こえる。

息がかかって髪が揺れる。



「力がない」なんてウソつき。


軽々とあたしを持ち上げたくせに。



イッペー君の香りにクラクラする。


さらに熱が上がりそう。


あたしは何も言えなくて、


コクンと小さく頷くのが精一杯だった。