――寒い、寒い、寒い。

頭……痛い……。


いつの間にか眠っていたみたい。


意識が夢と現実をさまよっていると

頭上から誰かの囁き声が聞こえる。


「……生徒……やもんなぁ……」


温かい手が頭に触れたかと思ったら、スッと髪を撫でられた。


その感触に体がビクンと震えて、あたしは顔を上げた。


「センセ……」


前の席に座って、イッペー君はじっとあたしを見ていた。



お互いに何も言わず、しばらくそのまま見つめ合う。



夕暮れが近いのか、教室内は薄暗くて


なんだか不思議な感覚。


まだ夢を見ているみたい。