「あのなぁ……」


イッペー君はあたしの手からプリントを抜き取った。


「……またこういうことするやろ、お前は……ほんまに」


眉間に手を当てて、しばらく考え込むと大きく息を吐き出した。


「残念ですが……」


そしてプリントを小さく折りたたむ。



「これでは点数あげられません。
これは国語の課題やから……ちゃんと言葉にせなあかん。文章で書いてこい。
ハイッ! やりなおし」

と言って、あたしの着ているカーディガンのポケットにプリントをスッと入れた。


あたしはうつむいて、呟く。


「……もん」


「ん?」




「言葉になんてできないもん……」