国語準備室に入るのは、日誌を届けた日以来だった。


イッペー君は机の一番上の引き出しを開けると、そこから袋ごと、のど飴を取り出した。


「はい。好きなだけどーぞ」

「え? たくさんもらってもいいの?」


目を丸くして驚くわたしに、イッペー君はクスクス笑う。


「のど飴ぐらいいくらでもやるって」

「ヤッタぁ……」とあたしは袋の中に手を入れて、のど飴を3つもらった。


そのうちの1つを口に、残りはガムと同様、カーディガンのポケットに入れた。


ああ……ガムに引き続き、またイッペーコレクションができてしまった。

この飴ももったいなくて食べられないよ。


……って、あたし。

何気にストーカー気質なのかな……。


なんて自虐的なことを考えながら口の中の飴を溶かしていく。