「ま、あんまり難しく考えない方がいいよ」


ポンポンとあたしの頭を叩くと、芙美は立ち上がった。

その視線の先には、小久保君がいた。


「じゃ、あたし、先帰るね」

「あ、うん。バイバイ」



小久保君と芙美の後姿を見送って。

――コツン

あたしは背後の壁に軽く頭をあてた。


あたしはイッペー君が好きだけど。

この想いが実ることはない。

そんなことは自分が一番良くわかってる。



この恋は不毛だ。


明るい未来なんてない。



だったらさっさと諦めて

自分を想ってくれる人と付き合う方が幸せなのかもしれない……。