菊池君はこちらに近づいてくると

パシンと叩きつけるように1枚のプリントをイッペー君の机に置いた。


「課題、書いたから」

「おお」


イッペー君はプリントを手にとって眺める。


「先生」


菊池君はなぜかめずらしくイッペー君を“先生”と呼んだ。


「“後悔するな”……って言ったよな。昨日」

「ああ」

「だからオレ、後悔しないために、頑張ることにしたから」


それだけ言うと、スッとあたしの方を見た。

目と目が合った瞬間、あたしの手首は菊池君に掴まれていた。


「いくぞ」

「えっ……」