6限目の授業が終わってすぐ、あたしは国語準備室を訪れた。

とりあえず日直の仕事を片付けてしまいたかった。


教室にはまだ何人か残っていたし。

菊池君と話すのは、日誌を届けた後でもいいかな……って判断した。

荷物は教室に置いたままだし、菊池君も戻ってくることはわかっていると思う。


昼休みに扶美と話してからずっと意識していた。

生まれて初めての出来事に、ドキドキして……緊張してる。



フーと大きく息を吐き出してから準備室のドアを開けた。


「せんせ……日誌持ってきました」

「おー」


イッペー君はイスに座ったまま、こちらを見ることもなく返事を返す。

そこにはイッペー君以外、誰もいなかった。