香水とタバコの入り混じったような……大人っぽい香り。


――ずるい。

子供みたいな顔してるくせに。

こんなのふいうちだ。

トクトクと心臓が落ち着かない。

赤くなりそうな顔の熱を下げようと、そこに神経を集中させる。

なのに、イッペー君はまたも顔を覗き込む。



「なぜ嫌いなんでしょう? 理由を述べよ」


クリクリの目で尋ねられ、あたしはモゴモゴと答える。


「だって……」

「ん?」

「答えが……」

「ふむふむ」

「1つじゃないから」

「ぶっ」


イッペー君はズルってイスから滑り落ちそうになって、吹き出した。


「そんなに笑わなくても!
だって、答えがはっきりしないって気持ち悪くない?」