「咲楽、ちょっといい?」

「え? あ、うん」


菊池君はあたしがいる踊り場まで降りてきた。

朝からどうしたんだろう……。

不思議に思っていると、横からポンと肩を叩かれた。


「あたし、先行ってるね」


芙美はなぜかニヤリと笑うと、軽快な足取りで階段を上っていってしまった。



「菊池君……? どうしたの?」

「あのさ……」