「昨日、サンキュな」


口の端をにんまりと上げる木村君。


「ヨリ戻った」

「マジ? やったじゃん」


って、鞄でパシンと背中を叩くと。


ふふん……って鼻で笑って、木村君は先に行ってしまった。


その様子で全てがわかったのか、芙美も「よかったねー」なんてうれしそうにしてる。



「やっぱさ。イッペー君の言った通りじゃん? ちゃんと気持ちを伝えるのって大切なのかもね」

階段を上りながら芙美がしみじみそう言う。



「咲楽!」


踊り場にさしかかった時、声をかけられた。

菊池君が階段の上からこちらを見ていた。