《うん。木村のことからかってさ。誰もフォローしなかったじゃん。菊池もさ、結構気にしてた》

「そうなんだ……」

《あの後さ、イッペー君にお説教されてさ》

「え? お説教?」

《あ……お説教……ってわけでもないんだけど……》


と、芙美はその時の状況を説明してくれた。


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―――

あたしが出て行った後、みんなはしばらく黙ったままだった。

そんな中、イッペー君は静かに口を開いた。


「あれやなぁ……。心の奥っていうか……引き出しみたいなとこあるやん? そういうの覗かれるのって、めちゃくちゃ恥ずかしいよなぁ……。
本音をさらけだすのは……時として勇気がいるな。

おまえらが、木村をからかったんは……あの言葉の中に身に覚えがあったからかな?

むずがゆいとこつつかれて、『うわっ。そこ触れてくれるな!』みたいな気分やった?」