イッペー君の返事も待たずに駆け出す。

自宅まで猛ダッシュ。


「ただいま」も告げず、急いで玄関で靴を脱ぐ。

階段を駆け上がり自分の部屋へ。

机の引き出しに入れていたものを取り出した。

それを胸に抱えて、また曲がり角まで戻る。


イッペー君はちょうどタバコに火をつけているところだった。

息を切らしてやってきたあたしを見て「早っ」って驚いている。


そして一息吸い込むと、うっすらと唇を開けて煙を吐き出す。

イッペー君がタバコ吸うところ、初めて見た。


タバコを軽く挟む長い指とか……

煙を吐き出すしぐさとか

その煙を追う視線とかが。


なんていうか。

大人っぽいっていうか
悪っぽいっていうか
色っぽい……みたいな。


とにかく見慣れないその姿にまたドキドキ。