頭……ってなんかヤバい。


大きな手の感触に体がビクンって震えた。

だけどそんなあたしにかまうことなく、イッペー君はポンポンと軽く頭を叩く。


「今日は、眠れそうですかー?」て言いながら。


――あ……そっか。


さっきあたしが言ったことを気にしてくれてたんだ。

時々眠れなくなる……って話。


「が、がんばります……」


そういうのがやっとで。

そしたらまたクスって笑う。


「そんなん頑張らんでええって」


そして自転車のペダルに足を乗せると、「じゃな。おやすみ」て、軽く手を振る。


「あっ……待って……」

動き出そうとした自転車の荷台を慌てて掴んだ。


イッペー君は目を丸くして、どした?って感じで首をかしげる。


「先生、あと5分……ううん3分。3分だけ時間欲しいの。ちょ、ちょっと待ってて」