あたしはさっきの出来事を簡単に説明した。

彼女を追いかけていった木村君のことを。


「そっか。上手くいったらええな。まぁ、男女のことは二人にしかわからんからな。後はどうなろうと、周りがどうこう言うことやない」


「うん」


自転車は静かな住宅街の中を通る。


あたしはイッペー君の背中に語りかける。

顔が見えないから、普段なら言えないことも言えそうな気がした。



「ね、先生?」