自転車に乗ったまま、驚いたような顔でこちらを見ているのはイッペー君。


「お前、こんな時間に何してるん? 帰ったんちゃうの?」

「え? えーと……」


なんて説明すればいいかわからずもごもごしていると、イッペー君はひょいとあたしの後ろを覗き込む。

ここから10メートルほど後ろには、木村君ちがある。

このあたりでは有名な和菓子屋で、大きな看板が掲げてあるからかなり目立つ。


それで全てを悟ったのか「ああ……木村か」と呟いた。


「あいつ、大丈夫やった?」

「……うん。多分……」

「そっか」

「で? サクラはもう帰るところ?」

「うん……」

「じゃ、一緒に帰りますか?」



「えっ……?」