「はぁ……」


息を吐き出して、空を見上げる。

冬の夜空は澄み渡っていて、星がやさしく瞬いていた。


寒いんだけど。

なぜかほんの少し温かくなったような……不思議な感覚。


とぼとぼと歩きだす。

角を曲がった瞬間。



――キィー

急ブレーキの音とともに、目の前に自転車が現れた。


「うわっ。あぶなっ」


「すみませんっ。ぼんやりしてて……」

「いや、こっちこそ……って、あれ?」


ペコペコと頭を下げながら気づく。

あれ?

この声……。


「せっ……先生」

「サクラ?」