「ん?」

「お前……何しにうちに来たんだっけ?」

「へ?」

「時代劇見るためか! ばあちゃんとほっこりするためか! みかんと大福と晩飯くって帰んのか!」


「つ……つっこみ早っ」


矢継ぎ早につっこまれて、思わずひるむあたし。


「お前、恋愛相談しにきたんじゃねーの?」


「う、うーん。まぁそうなんだけども……さ」


あたしはイッペー君のことを誰にも相談したことがない。

親友の芙美にさえも。

だって……イッペー君は先生なんだよ?

こんなこと、言えるわけない。



あの時、木村君に“好きな人がいる宣言”をしてしまったのは、はずみでそうしちゃっただけなのだ。

あのまま木村君を一人で帰らせちゃダメな気がして。


気づいたら、あんなこと、口走っていたんだ。