――そんなこんなで、あたしは今、木村君の家にいる。



「いらっしゃーい。ゆっくりしていってね」


おほほ、なんて笑いながら、木村君そっくりのお母さんがいちご大福を目の前に出してくれた。


そういえば、さっきは結局お餅を食べ損ねたわけで……

あたしは大きな口を開けて、あーんといちご大福を頬ばった。


「おいしっ」


そう言うと、「だろ?」って木村君も満足そうに微笑む。


「つか、お前……口の周り、粉ついてんぞ」


「へ? いーよ、別に。後で拭くもん。今は食べることに全神経を集中させたいの!」


「全神経……って。なんかお前の食べ方、命がけだな……。つーか、お前って黙ってりゃ、普通にイケてんのに、なんかしゃべるとなぁ……ギャップがなぁ……」


呆れ顔の木村君をよそに、あたしはまたあーんと大きな口を開けた。


と、その時。


♪~♪~♪


どこからか、聞き慣れたメロディーが。


こ……このテーマソングは。

紛れもない。


「大岡越前だああああ」


あたしはキョロキョロと周りを見渡す。


「どっ、どこ? どこから聞こえてくるの? というか、あたしの幻聴?」


パコッと背後から頭を叩かれた。


「何、わけのわかんねーこと言ってんだよ! 隣のばーちゃんの部屋からだよ!」