あたしは木村君の背中に向かって息も絶え絶えに声をかける。


「あっ……あたし……の話も聞いてもらおう……て思って!」


「はぁ? お前の話ぃ?」


「あたっ……あたしねっ」


胸の中につかえていた想いを……あたしは息とともに吐き出す。

そう、まさしく吐き出した。


「好きな人がいるんだけども!」


――バチンッ


「うわあああ」


木村君が急に立ち止まったせいで、彼の背中に思いっきり顔をぶつけてしまった。


「もぉ、なんで急に止まるかなぁ! 止まる時は一声かけてよ!」


「いたぁ……」と顔を押さえていると、木村君がクルリと振り返った。


そして両手を組んであたしを見下ろす。


「おぉ。聞いてやろうじゃねーか」



……あ、あれ?


なんかヘンな展開になってきた。