差し出されたプリントをじっと見つめていたイッペー君は

「こんな解答では受け取られへんなぁ」

って、眉を上げる。



「だよねー、ほんとコイツ、アホ」

「っつーか、エロすぎー」


「いや、エロがあかん言うてんちゃうで」


みんなが口々に囃し立てる中、またイッペー君の声が響いた。


「それがお前の本心なんかなぁ……って思って。今一番彼女に伝えたいことをそのまま、お前の言葉で書いたらそれでええねん」



しばらく黙り込んでいた木村君。

消しゴムでプリントを乱暴にこすると、またシャーペンの音を響かせて何かを書き始めた。


それを近くにいた男子が覗こうとしたら、ガバって腕で隠す。


「見んなっつの!」


そして書き終えたのか、プリントをスッと差し出す。


だけど、それは横から菊池君に奪われてしまった。


菊池君はからかうように、その文章を読み上げる。



「え~……」