とうとう男子を捕まえると学ランの襟口から雪を入れた。


「冷て―――!」


「ぎゃははははー! イッペー君、鬼!!」


いつの間にか増えたギャラリーも大騒ぎ。


中庭に生徒の笑い声が響き渡る。


今度は雪を服の中に入れられた生徒からの反撃が始まった。



逃げる、逃げる、逃げる。


ほんと、ワンコみたい。



だけど、とうとう疲れたのか、植え込みの後ろに避難した。


――あ、ズルッ子。


隠れてるつもりかもしれないけど、上から見ているあたし達には丸見えなのだ。


男子の一人、木村君がイッペー君を探してキョロキョロしてる。



芙美がスクっと立ち上がって窓から身を乗り出した。



「木村!――ここ、ここ」