「つーか、ポエマーなんか言い出したら……」


そしてなぜか寒そうに自分の体を抱える。


「オレの方がヤバいって! ええ歳して、『未開封のお菓子の袋』とか言ってるし! うわぁ……なんかサムいし! さっきのオレ、消えろ! めっちゃハズいし!」


イッペー君があまりにもぎゃあぎゃあ騒ぐので、思わず吹き出してしまった。


「あはは。だよね。先生も案外語るよね」


イッペー君はチラリとこちらを見て口を尖らす。


「うるせー。ポエマー上等! こんな夜もあるさ」


そしてニッコリ微笑んだ。

「だって、月がキレイやから」

「うん。月のせいだよね」

「そうや」


しばらく二人でクスクス笑って。

あたしはイッペー君のパーカーの裾を、ツンツンとひっぱった。


「ん? どした?」


イッペー君があたしの顔を覗き込む。




「先生、花火……しよ?」