「けど、そんなもんは、単なる勘違いや。
うまくいかへんかった恋は、キレイすぎるイメージのまま残ってしまうから」


ずっとライターを見つめていたイッペー君がふいに顔を上げた。


「夏休みの補講で、サクラ、オレに気持ちをぶつけてくれたやろ?」


「うん……」


「オレもあの時……あの高校生の時に、アイツに対してそうすべきやったんかもしれへん。そうすれば、また違ってたかもしれへん」


「うん……」


「それでもオレはやっぱりできへんかったんやろうけど……」


そう言って、ちょっと悲しそうに笑った。


「オレ……あの日……サクラのこと利用した」


「え? ……利用?」