中学三年になって、修学旅行の積立が始まった。この時、ユキは修学旅行には行かないと言い出した。
「ユキ、一緒に行こうよ。私、ユキと一緒じゃなかったら全然楽しくないよ。お金の問題?」
「どうしても、行けない。理由も言えない。ごめん、ミツバ」
「分かったよ。仕方がないか。それで、ユキの言いたくないことは言わなくていいから」
今度は、高校受験の時期が来た。ミツバは、数学で手こずっていることもあり、公立校で最も難易度の低い高校を受けることにした。ユキは、もう少し難しい高校に入れるレベルだったのだが、どうしてもミツバと離れたくなかったので、同じ高校を受験することにした。
高校に入るとすぐ、ミツバは柔道部に入り、ユキもマネージャーとなった。これで、二人は、中学の時のように一緒の毎日を過ごせると思った。ところが、二年の時、ユキの期待していないような事が起こった。柔道部の三年生の男子から誘われ始めたのだ。どうやら、ずっとユキの事が気になっていたのだが、とうとう我慢が出来なくなったようだ。ただし、この男子にはすでに、同じく三年の彼女がいた。
この彼女は彼氏がユキに手を出し始めたのが気に食わず、ユキを呼び出した。
「あなた、私の彼氏にちょっかいを出してるでしょ!」
「そ、そんなぁ。このユキ、あ〜、ワ、ワタシ、何もしてません」
「嘘つかないで」
「あの、ワタシは何も。あの、先輩が誘って来たんです。ワタシはすぐに断りました」
彼女は一向に満足していないようだった。
「兎に角、私の彼の前から消えて頂戴。つまり、柔道部のマネージャーを辞めて頂戴」
「えー、そんな! ワタシは、柔道部のミツバと言う友達と一緒に居たいだけで、マネージャーやってるんです。先輩とは、全く関係ありません」
「辞めないって言うの? あなたは、私の事知らないでしょ」
ユキは彼女が何を言いたいのか分からなかった。
「でもね、私はあなたの事知ってるのよ。あなたは、違う学年の私たちの間でも話題になるほど可愛かったから」
ユキの顔が青ざめてきた。
「そうよ、私も輪島から来たのよ。だから、あなたの事、知ってるのよ。それでも、柔道部のマネージャー辞めない? 辞めないならいいわよ。私がどうするか想像つくでしょ。でも、さっさと辞めてくれるんだったら、私だって、わざわざあなたの嫌がるような事はしないわよ。もう決して、その、やけに目立つ顔とピチピチした上半身を私の彼の前に出さないで!」
ユキは絶望の気持ちで、ミツバと帰り道についた。
「ミツバ、このユキ、柔道部のマネージャーを辞めなければならないことになった」
「えーっ?! どうしたの急に? それで、病気かなんか?」
「そうじゃないんだけど、どうしても、理由を言えない。ミツバ、前に、このユキの言いたくないことは言わなくていいって言ったよね。ほんとに悪いんだけど、そうしてくれる」
ミツバは心配したような顔で黙りこんだ。それでも、心配で仕方がないという表情で尋ねた。
「ユキ、それって、私たちの間には関係ないよね? 私たち今まで通りの付き合い出来るようねぇ?」
「うん。もちろん。このユキは、ずぅーっとミツバと付き合っていたい。だから辞めなければならなくなったんだ」
「分かったよ。前に言った通り、ユキの言いたくないことは、聞かないから、気にしないで。マネージャーを辞めたって、私たち、前と同じ様に付き合えるよ。大丈夫だよ」
ミツバは、無理に納得しようとしている様に聞こえた。
ユキは、柔道部のマネージャーを辞めるとミツバと離れて過ごす時間が増えた。そして、いざそうなってみると、一人の時間が無性に寂しく感じた。これから大人になれば、いつもべったり一緒にいることは出来ないはずだ。少しずつ慣れないといけないと、自分に言い聞かせた。
それでも、やはり、気持ちは行動に出るもので、今まで必要のなかった物で寂しさを補うことを覚えた。自動販売機で、お酒を買うようになった。美味しいと思った訳ではないが、酔って寂しさを紛らわせる事が出来ると感じた。
ミツバはそれに気が付き、心配した。部活の無い時は出来るだけユキと一緒に過ごすように努めた。それでも、ユキが、前のユキではなくなってしまったのではないかと不安だった。その状態は思いの他長いこと続いた。
「ユキ、一緒に行こうよ。私、ユキと一緒じゃなかったら全然楽しくないよ。お金の問題?」
「どうしても、行けない。理由も言えない。ごめん、ミツバ」
「分かったよ。仕方がないか。それで、ユキの言いたくないことは言わなくていいから」
今度は、高校受験の時期が来た。ミツバは、数学で手こずっていることもあり、公立校で最も難易度の低い高校を受けることにした。ユキは、もう少し難しい高校に入れるレベルだったのだが、どうしてもミツバと離れたくなかったので、同じ高校を受験することにした。
高校に入るとすぐ、ミツバは柔道部に入り、ユキもマネージャーとなった。これで、二人は、中学の時のように一緒の毎日を過ごせると思った。ところが、二年の時、ユキの期待していないような事が起こった。柔道部の三年生の男子から誘われ始めたのだ。どうやら、ずっとユキの事が気になっていたのだが、とうとう我慢が出来なくなったようだ。ただし、この男子にはすでに、同じく三年の彼女がいた。
この彼女は彼氏がユキに手を出し始めたのが気に食わず、ユキを呼び出した。
「あなた、私の彼氏にちょっかいを出してるでしょ!」
「そ、そんなぁ。このユキ、あ〜、ワ、ワタシ、何もしてません」
「嘘つかないで」
「あの、ワタシは何も。あの、先輩が誘って来たんです。ワタシはすぐに断りました」
彼女は一向に満足していないようだった。
「兎に角、私の彼の前から消えて頂戴。つまり、柔道部のマネージャーを辞めて頂戴」
「えー、そんな! ワタシは、柔道部のミツバと言う友達と一緒に居たいだけで、マネージャーやってるんです。先輩とは、全く関係ありません」
「辞めないって言うの? あなたは、私の事知らないでしょ」
ユキは彼女が何を言いたいのか分からなかった。
「でもね、私はあなたの事知ってるのよ。あなたは、違う学年の私たちの間でも話題になるほど可愛かったから」
ユキの顔が青ざめてきた。
「そうよ、私も輪島から来たのよ。だから、あなたの事、知ってるのよ。それでも、柔道部のマネージャー辞めない? 辞めないならいいわよ。私がどうするか想像つくでしょ。でも、さっさと辞めてくれるんだったら、私だって、わざわざあなたの嫌がるような事はしないわよ。もう決して、その、やけに目立つ顔とピチピチした上半身を私の彼の前に出さないで!」
ユキは絶望の気持ちで、ミツバと帰り道についた。
「ミツバ、このユキ、柔道部のマネージャーを辞めなければならないことになった」
「えーっ?! どうしたの急に? それで、病気かなんか?」
「そうじゃないんだけど、どうしても、理由を言えない。ミツバ、前に、このユキの言いたくないことは言わなくていいって言ったよね。ほんとに悪いんだけど、そうしてくれる」
ミツバは心配したような顔で黙りこんだ。それでも、心配で仕方がないという表情で尋ねた。
「ユキ、それって、私たちの間には関係ないよね? 私たち今まで通りの付き合い出来るようねぇ?」
「うん。もちろん。このユキは、ずぅーっとミツバと付き合っていたい。だから辞めなければならなくなったんだ」
「分かったよ。前に言った通り、ユキの言いたくないことは、聞かないから、気にしないで。マネージャーを辞めたって、私たち、前と同じ様に付き合えるよ。大丈夫だよ」
ミツバは、無理に納得しようとしている様に聞こえた。
ユキは、柔道部のマネージャーを辞めるとミツバと離れて過ごす時間が増えた。そして、いざそうなってみると、一人の時間が無性に寂しく感じた。これから大人になれば、いつもべったり一緒にいることは出来ないはずだ。少しずつ慣れないといけないと、自分に言い聞かせた。
それでも、やはり、気持ちは行動に出るもので、今まで必要のなかった物で寂しさを補うことを覚えた。自動販売機で、お酒を買うようになった。美味しいと思った訳ではないが、酔って寂しさを紛らわせる事が出来ると感じた。
ミツバはそれに気が付き、心配した。部活の無い時は出来るだけユキと一緒に過ごすように努めた。それでも、ユキが、前のユキではなくなってしまったのではないかと不安だった。その状態は思いの他長いこと続いた。



