「紗月! しっかりするんだ、紗月!」
「久遠さまは……ご無事、ですか……?」
紗月は震える手を伸ばして彼の頬に触れる。
「早く、止血を。解毒薬ももってこい」
周囲に命じる久遠の声が響く。
彼の腕に抱かれた紗月は、ごほっと口から血を吐いた。背中は焼けるように熱いが、傷口を久遠の手がしっかり押さえている。
「久遠、様……」
焼けつく喉で、紗月は最期の言葉を振り絞る。
「紗月。すぐに止血する。もう少しだから。だから意識をしっかり保つんだ」
眉間にしわを作った彼は今にも泣き出しそうで、その手は血でべったりと汚れている。
紗月は、久遠をかばって毒の刃を受けた。
向こう側から、久遠に向かって刃を振り上げながら走ってくる人物に気づいたが、「危ない」とか「逃げて」とか叫ぶより先に身体が動き、紗月は力いっぱい久遠を突き飛ばした。そのため刃の前に紗月の身体が躍り出た感じになり、背中を大きく斬りつけられた。
「紗月、紗月!」
斬られてからわかったが、刃には毒が塗られていたのだ。傷口がじんじんと燃えるように熱く、自分の命がそう長くはもたないだろうと察した。いくら治療を施されたとしても、毒が確実に命を奪っていく。
だが、これでよかった。久遠の命は守られたのだから。
彼には生きてもらいたかった。
「久遠、様……。どうか、幸せになって……」
薄れていく意識の中で、紗月が願うのは久遠の幸せ。
「紗月、紗月……」
久遠の目からポタリと涙がこぼれ、意識を失った紗月の頬を濡らした。
「久遠さまは……ご無事、ですか……?」
紗月は震える手を伸ばして彼の頬に触れる。
「早く、止血を。解毒薬ももってこい」
周囲に命じる久遠の声が響く。
彼の腕に抱かれた紗月は、ごほっと口から血を吐いた。背中は焼けるように熱いが、傷口を久遠の手がしっかり押さえている。
「久遠、様……」
焼けつく喉で、紗月は最期の言葉を振り絞る。
「紗月。すぐに止血する。もう少しだから。だから意識をしっかり保つんだ」
眉間にしわを作った彼は今にも泣き出しそうで、その手は血でべったりと汚れている。
紗月は、久遠をかばって毒の刃を受けた。
向こう側から、久遠に向かって刃を振り上げながら走ってくる人物に気づいたが、「危ない」とか「逃げて」とか叫ぶより先に身体が動き、紗月は力いっぱい久遠を突き飛ばした。そのため刃の前に紗月の身体が躍り出た感じになり、背中を大きく斬りつけられた。
「紗月、紗月!」
斬られてからわかったが、刃には毒が塗られていたのだ。傷口がじんじんと燃えるように熱く、自分の命がそう長くはもたないだろうと察した。いくら治療を施されたとしても、毒が確実に命を奪っていく。
だが、これでよかった。久遠の命は守られたのだから。
彼には生きてもらいたかった。
「久遠、様……。どうか、幸せになって……」
薄れていく意識の中で、紗月が願うのは久遠の幸せ。
「紗月、紗月……」
久遠の目からポタリと涙がこぼれ、意識を失った紗月の頬を濡らした。



