君はSSS賞

 ——うきうき。
 世那くんの一言で。

 世那くんの家はスーパーから歩いてすぐだった。僕の家からも近い。ご近所さんだったんだ。もっと早く出会わせてくれてもよかったのになぁ、と思った。

「お邪魔します」
「散らかってるけど、どうぞー」

 玄関の隅にサッカーボールが置いてあった。靴箱の上にはスパイクらしき靴もあった。……サッカー、するんだな。
 お部屋に入ると、壁に飾られたユニフォームが目に入った。……サッカー好きなんだ。

「準備するから座っててね」
「はい。……あ! 僕も一緒に準備します」

 お部屋観察をしていたら、危うく一緒に料理をする絶好の機会を逃しかけた。キッチンに入って、世那くんの隣に立つ。

「りっちゃんは普段、料理する?」
「します! 休みの日は姉と交代で晩ご飯作ってます」
「おー、えらいね。……じゃあ、切るのお願いしていいっすか?」
「任せてください」

 包丁とまな板を受け取り、タコを小さく切っていく。

 その間に、世那くんはキッチンの戸棚からたこ焼きセットを取り出した。
 たこ焼きに必要な道具が揃っていた。しかも、どれも持ち手に可愛いタコさんがついている。

「たこ焼き、よくするんですか?」
「ううん、初めて。昨日したいなーって思って、ポチって、今朝届いた」

 思い立ったらすぐに行動するタイプなんだ。
 ……ってことは、好きな人ができたらすぐ告白とかしちゃう感じ⁈ それはまずいよ、まずすぎるよ。

「……りっちゃーん? 大丈夫っすか?」

 世那くんが僕の顔の前で手をひらひらさせた。……また考え込んじゃってた。

「大丈夫です! 早く切りますね」
「ありがとう。ゆっくりでいいからね、危ないし」

 僕がタコを切っている間に、世那くんはボウルに粉を入れていた。シンクに置かれたたこ焼き粉の袋は、空っぽだった。……え? 全部入れたの⁈

「世那くん……粉全部入れました?」
「うん、入れた」
「百個できちゃうよ!」
「百個⁈ でも、いっぱい食べれるっすね」

 世那くんはそう言って笑った。

 すごいなあ。僕だったら絶対、失敗したーって思っちゃうのに。
 世那くんといたら、失敗だって楽しくなっちゃいそう。

 好きな人のお家にいるっていうドキドキもあったし、いいところを見せたくて、ついつい肩に力が入っちゃってた。

 でも、さっきの一言であっけなくほぐれちゃったな。
 自然に笑顔になって、こんなにうきうきしてる。

 ああ、やっぱり僕は世那くんのことが好きなんだ。