君はSSS賞

 ——うずうず。
 早く言いたいのに……!

 告白を寸止めされた僕は、夕方になると「もう、晩ご飯の時間だね。またね」と世那くんに言われ、自宅に帰されてしまった。
 今日こそ思いを伝える! と意気込んで家を出てきたから、莉子ちゃんが僕の様子を見て心配そうな顔をしている。
 気を遣わせて申し訳ないと思うのに、明るく振る舞う気力もなかった。

 僕は「ただいま」とだけ言って、部屋に引きこもった。

 気づいたら眠っていた。昨晩、眠れなかったせいだな。
 起き上がると、下の階から晩ご飯のいい匂いが漂ってきていた。

 いい匂いに誘われて下に降りると、莉子ちゃんはキッチンでエプロン姿のまま僕を振り返った。

「お! いいところに来たね」
「莉子ちゃん……今日は僕が作る日だったのに、ごめんね」
「いいの、いいの。座って待ってて」

 お言葉に甘えてダイニングに座って待っていると、料理が運ばれてきた。

「油淋鶏だ……!」
「りっちゃん好きでしょ」
「うん。でも莉子ちゃんネギ刻むの嫌いじゃん」
「今日はいいの。あったかいうちに食べよ」

 そう言って、僕たちは油淋鶏を食べた。すごく美味しくて、落ち込んだ心に沁みた。
 
 世那くんの家であったことは何も話していない。でも、僕の様子を見て大好物を作ってくれた莉子ちゃんに救われた。

 食べ終わると、僕たちは食器を洗いながら、今日のことをぽつりぽつりと話した。

「んー、なるほどね。……罪な男だね、世那さん」
「だよね。留学中もあんなに夢中にさせておいて、告白させてもくれないなんて、ひどいよ」
「でも、卒業したらリベンジ、するんでしょ?」
「……そのつもり」

 リベンジするつもり。このまま引き下がるなんて絶対したくないもん。
 諦めてない自分に気づいて、恋心にまた小さな火が灯った。

 卒業式の日、式が終わったらそのまま告白しに行こうと思った。
 でも、世那くんに連絡してみると、『予定あるから、その日はごめんね』と返ってきた。

 結局、卒業式の翌日の昼に、世那くんの家にお邪魔することになった。

 仕方ない、仕方ないけど。一日でも早く言いたいのに。
 世那くんが帰国してから五日、思いは募る一方だった。

 もどかしい気持ちを抱えながら、僕は高校を卒業した。
 楽しい高校生活だった。二年生の終わりからは世那くんのおかげで光り輝いた日々だったし。

 これで世那くんに思いを伝えられたら、何も思い残すことはない。