君という夢を描いて The after story―Embrace it all―



 曲が終わっても、余韻がまだ抜けない。

 爽やかなポップ調の曲のはずなのに。

 何であたしは、こんなにも泣いてるんだろう。


「……」

 この曲の中にも、涼ちゃんの存在を感じてしまったから?



「あれ? 梨歩どうした?」
 わかってるくせに。
 この確信犯が。

 絶対、わざとだ。
 本当に、卑怯すぎる。

 あたしの何を知っている?
 いや。
 何もかもを、知っているみたいな顔で。
 こういうことを、さらっとやる。

 普通、ここまでやらないでしょ。
 これが、エディの……やり方か。


 泣かされたのは悔しいけど。
 どこか感謝もしていたりする。
 それが、余計に。
 一段と悔しい。


「桜……使うの、反則」
「使ってないよ。二回しか」
「使い方が反則なの!」

 エディには、涼ちゃんのことを話していたけど。
 まさか、その話を聞いただけで……。
 想像だけで、ここまで表現できてしまうの?

 やっぱり、この人には敵わない。
 多分、一生。


「ねえ、梨歩」
「何?」
「歌えそう?」

 やっぱり、意地が悪い。
 ものすごく。

「歌えるわけ……ないじゃん」
「だよね」
「ムカつく」
「僕の若葉ちゃんを泣かせた仕返し」
「げ、まだ根に持ってたの?」
「いや、ただ単に梨歩を泣かせたくなっただけ」
「うわ、それ余計にムカつく」

 どうして、こうなった?
 あの小さい頃のあたしに優しかった彼は、いずこへ?
 今や、その優しさは彼の恋人限定なのか。