初恋、のちパパになる―憧れのあなたは母になっていた―


「実は、僕たちも結婚式を考えていて」
「え、どこで?」
「僕たちの出会った場所」
「……」
 約一名、無言。

「父さん?」
「玲」
「何?」
「正気?」
 明らかに腑に落ちない表情のエディ。

「え、何それ」
「本気で言ってる?」
「本気も何も……本気以外の流れ、なくない?」
「何で、よりによって……そこ?」
「嫌なら来なくていいよ」
「嫌とは言っていない!」
「じゃあ何?」
「あそこに何がいるか知ってる?」
「ロゼさんとジェームズさん」
「そう! あの年老いたオカマ二人がいるところ!」
「年老いたって……」
「まさか、職場の人も呼ぶつもり?」
「いや、親しい友人と親族を中心に招待しようと思ってる。あ、でも……武蔵先生は呼びたい」
「武蔵君!?」
「だって、一応上司だったし。新人の頃は指導してもらったから」
「……終わった」
「いや、勝手に終わらせないで」
「エディさん。二人が決めたことだから」
「若葉ちゃんまで……」
「それに、あの場所は……私とエディさんが再会した場所でもあるでしょう?」
「あ……」
 思えば三十数年前。あの再会がなければ、この未来は訪れなかったかもしれない。

「あのカフェは、私たちにとっても思い出の場所。そこをあえて選んでくれるなんて、感謝しかないじゃない」
「母さん……」
 ナイスフォロー、と玲は内心思った。

「親子二代、その恋の行方を見守ってくれたロゼさんもジェームズさんも。きっと、素敵な結婚式になるわね」
「わ、若葉ちゃんがそう言うなら……まあ、いいんじゃない」
「父さん、弱っ」
「パパ」
 蒼生が玲の首に抱きつく。
「きょうは、パパとママ、いっしょにねんねする?」
「うん?」
「パパとママ、ずっといっしょ」
「そうだよ」
「ぼくも?」
「うん」