「あの、それで折り入ってお願いしたいことがありまして」
「いいわよ、何でも聞いちゃう」
「僕たちの結婚式、ここでしてもいいですか?」
「キャー!!」
「ジェームズ、アンタちょっとうるさいわ」
「あーらあ、ごめんなさいねえ。だって、こんな嬉しいことないじゃない」
「アタシだってそう思ってるわ。こんな嬉しいことはない。もちろんOKよ。ただ、前例がないのよね。希望日を貸し切りにするか、普段の営業中にサプライズでやるか。どんな演出がいいかしら?」
いつになく張り切るロゼとジェームズ。
「会費制のパーティー形式にして、規模は親しい友人や家族中心で考えています」
「あら、それはいい方法ね。遙花ちゃん、衣装はもう決めてるの?」
「いえ、まだこれから探すところです」
「僕が作っても良いんだけどね」
「いや、それだけは全力で阻止するわ」
「何で?」
「玲君の裁縫スキル、バグりすぎてるし」
「え、ひどくない?」
「事実じゃん。武器にはなるけど」
「武器って……」
玲は肩を落とす。
「実際に、律君のお父さんの元カノ名乗って突撃してきたストーカーおばさんを撃退したらしいじゃない」
玲の逸話は、いつの間にか遙花にまで伝わっていた。
「あ、あれはたまたま……そのおばさんの好みじゃなかっただけだよ」
「いや、好み以前の問題だよ。私も見せてもらったけどさ、最早……あれは“最終兵器”だわ。未だに玄関先につるしてあるみたいだし」
「う……僕の夢が……」
「そんなに作りたいなら、裁縫スキル磨いてよ」
「無理」
「ギャハハハ! 玲君の裁縫展を開いたら、意外と面白いんじゃない?」
「ロゼさんまで」
衣装の話から、玲の裁縫スキルの話まで飛躍。話題が尽きない中、遙花が切り出す。



