初恋、のちパパになる―憧れのあなたは母になっていた―


 *

 更にその二カ月後。

 玲は両親に遙花と蒼生を紹介する。

「初めまして。玲君とお付き合いさせていただいています、佐伯遙花です」
「彼女は僕が学生の頃にバイトをしていたときの先輩なんだ」
「あの、実は。私には離婚歴があって……この子……一歳の息子がいます」

 沈黙。

「もしかして、あなたの別れた旦那さんって……玲を刺した人、かな?」
「父さん!」
「……はい」
「彼女は被害者だ。その旦那から暴力を振るわれていた。僕を刺したのは事実だけど、僕が守りたくて守った。その事実だけで充分だ」
「その理屈は理解できるよ。遙花さんが被害者だったことも、見ればわかる」

 バツイチのシングルマザーと聞いて初めは驚いていたエディと若葉。
「大変な思いされたのね」
 若葉は意外とあっさり受け入れる。対して、エディは少し慎重な姿勢。

「遙花さんに問題があるとは全く思わないけど、今後その元旦那さんが接触してくる可能性はあるのかな。実際に、玲はその人に怪我をさせられている。それについては、僕も玲の父親として見過ごせない」
「父さん、それについては必要な法的手続きは既にしてある。万が一の可能性は無きにしも非ずだけど、もしそうなった場合は、法の下で何度も戦うよ。そして、どんなことがあっても守る」
「遙花さん、私たちにできることがあったら遠慮なく言ってね。例えば、蒼生君のこととか。必要なら、預かることだってできるから。二人で出かけたいときもあるだろうし」
「若葉ちゃん?」

「だって、いずれ私たちの孫になるかもしれない子じゃない」
「それは、そうだけど」
「だったらいいじゃない」
「わ、若葉ちゃんがそう言うなら。まあ、玲が選んだ人だしね」

 遙花は、堪えきれずに涙腺が崩壊した。
「ありがとう、ございます……」

「え、やだ。私、泣かせるつもりじゃ……」
「あーあ。言わんこっちゃない」とエディ。
「母さんの優しさ、破壊力抜群なんだって」
「何か……ごめんなさい。でも、本当に遠慮しなくていいからね。いつでも気軽に遊びに来て」
「そういうとこだよ」