好きって言ったらキスしてくれる?

 その翌日から、駒沢先輩は本当に、『また』俺に会いに来るようになった。
 学校が終わって、寮へ帰るくらいの時間を見計らって、通り道に面した店に居たり、時には歩道で待っていたりする。
 片道一時間の距離を毎日通っているのかと思ったが、どうやら先輩の高校は、もっと宝翔学園の方へ近い位置にあるらしい。
 それでも、部活にも入っておらず、委員会活動もほとんどない俺の下校時刻に待ち伏せするためには、かなり早い時間から来なければならないはずだ。
 いったいどうやっているのだろうと思っていたら、「これで来てるから」と大きなバイクを見せられた。

(なるほど……)

 そういえば駒沢先輩は、車やバイクが好きだった。
 そういうことを懐かしく思い出す気持ちも確かにあるのに、「皆実ちゃんを後ろに乗せて走りたいから免許を取った」と言われると、スーッと気持ちが冷える。今すぐ先輩の前から逃げ出したくなる。

「…………」

 何も答えず俺が黙り込んでしまうことまで、先輩にとっては想定内のようで、気にすることなく一方的な会話を続けられる。

「今日はあの可愛い子と一緒じゃないの? 確か……中谷くん?」

 先輩がにっこりと嬉しそうに笑う。

「皆実ちゃんの友だちは、ああいう子がいいと俺も思うよ。いい子を見つけたね」
「…………」

 俺と中谷が友だちになったことに、駒沢先輩が関与しているわけでもないのに、そういう言い方をされて、心に引っかかる。
 中谷に迷惑をかけたくない。
 おかしな関心を持たれないように、なるべく一緒に帰るのを控えようと思い、やっぱり何年経っても、駒沢先輩に支配されているふうの自分が嫌になった。