翌日の放課後から、俺は悠臣の代理として、寮の食堂を借りて行われる応援団の集まりに、参加することになった。
(なんで俺が……!)
腹立たしい気持ちはあるが、一緒の中谷が嬉しがっているふうなので、仕方なく良しとする。
「よかったぁ、宝田君が居てくれて……僕一人だったら、緊張して、心配で、どうしようって思ってたんだ……」
「おう」
中谷の本当の相方は悠臣なので、心配する必要はないだろうとも思うが、悠臣相手だと中谷がガチガチに緊張してしまうことも、俺は知っている。
その点、俺とはよく話すし、二人で遊んだりもしているので、中谷にとっては一番気安い相手なのかもしれない。
(まさか悠臣、そこまで読んで……? あいつならあり得るか)
周りのことをとてもよく見ていて、何事にも気が回るところは、確かに尊敬に値する。
(結局、悠臣の手のひらの上か……)
それは結構おもしろくないのだが、俺自身もそれで助けてもらっている自覚があるので、つい許してしまう。
「ね、話し合いと練習終わったら、またパフェ食べに行く?」
中谷の誘いに、心が躍った。
「いいね」
単純だと笑いたいなら、笑え。欲望に忠実に、俺はさっさと悠臣の代理という役目を全うすることに頭を切り替えた。
「はーい、じゃあテーマは『躍動』ってことで、パネルは派手で華やかにしてもらいまーす。衣装も、派手でいいかな? デザインは係にお任せで、とりあえず今日は採寸だけ……」
応援団長である奏先輩の仕切りで、話し合いは面白いようにトントン進む。
これなら早めに終わりそうだと、心軽く、「今日は何味のパフェにしようか?」などと考えていた俺は、先輩に促されてみんなの前に立った『衣装係』の人物を見て、思わず噴き出した。
「ブッッッ!」
(押上ぃ!?)
そこには、隣に立つ奏先輩よりも頭一つ分は背の高い、一年生きっての強面が、憮然とした表情で立っていた。
「今年の家庭科部のホープ、押上くんでーす」
奴を紹介した奏先輩はぱちぱちと手を叩いているが、それ以外の応援団員は、騒然としている。
当然だ。俺だってわけがわからない。
(押上が家庭科部!? 料理とか裁縫とかすんの???)
あの大きな手で、小物をちまちま作ったり、お玉を持ったりしている姿は、とても想像できない。
本人もその自覚があるらしく、全然静まらない雰囲気にイライラしたように舌打ちしながらも、役目に対しては真摯に向き合うタイプでもあるらしく、みんなに軽く頭を下げる。
「よろしくお願いしまっす。採寸するんで並んでください」
報復が怖いので、みんな面と向かって言いはしないが、「似合わねー」「意外―」と囁きあって一向に押上の言うように列を作らない中、すっと真っ先に動き出した奴の姿に、俺は少し驚いた。
(え? 中谷……?)
俺の隣に座っていた中谷は、ためらいもなく席を立って、押上の方へ歩いていく。
その横顔を見て、中谷は押上が家庭科部なことを知っていたんだなと思った。
全然驚いているふうがない。
「よろしく、押上くん」
「…………」
返事はしないものの、手慣れた手つきで、押上は中谷のサイズを測っていく。
(あいつらって、ギクシャクしてると思ってたけど、案外うまくやってるのかな?)
悠臣の代理出席のため、採寸の必要がない俺は、そんなことを考えながら、中谷と押上をずっと眺めていた。
(なんで俺が……!)
腹立たしい気持ちはあるが、一緒の中谷が嬉しがっているふうなので、仕方なく良しとする。
「よかったぁ、宝田君が居てくれて……僕一人だったら、緊張して、心配で、どうしようって思ってたんだ……」
「おう」
中谷の本当の相方は悠臣なので、心配する必要はないだろうとも思うが、悠臣相手だと中谷がガチガチに緊張してしまうことも、俺は知っている。
その点、俺とはよく話すし、二人で遊んだりもしているので、中谷にとっては一番気安い相手なのかもしれない。
(まさか悠臣、そこまで読んで……? あいつならあり得るか)
周りのことをとてもよく見ていて、何事にも気が回るところは、確かに尊敬に値する。
(結局、悠臣の手のひらの上か……)
それは結構おもしろくないのだが、俺自身もそれで助けてもらっている自覚があるので、つい許してしまう。
「ね、話し合いと練習終わったら、またパフェ食べに行く?」
中谷の誘いに、心が躍った。
「いいね」
単純だと笑いたいなら、笑え。欲望に忠実に、俺はさっさと悠臣の代理という役目を全うすることに頭を切り替えた。
「はーい、じゃあテーマは『躍動』ってことで、パネルは派手で華やかにしてもらいまーす。衣装も、派手でいいかな? デザインは係にお任せで、とりあえず今日は採寸だけ……」
応援団長である奏先輩の仕切りで、話し合いは面白いようにトントン進む。
これなら早めに終わりそうだと、心軽く、「今日は何味のパフェにしようか?」などと考えていた俺は、先輩に促されてみんなの前に立った『衣装係』の人物を見て、思わず噴き出した。
「ブッッッ!」
(押上ぃ!?)
そこには、隣に立つ奏先輩よりも頭一つ分は背の高い、一年生きっての強面が、憮然とした表情で立っていた。
「今年の家庭科部のホープ、押上くんでーす」
奴を紹介した奏先輩はぱちぱちと手を叩いているが、それ以外の応援団員は、騒然としている。
当然だ。俺だってわけがわからない。
(押上が家庭科部!? 料理とか裁縫とかすんの???)
あの大きな手で、小物をちまちま作ったり、お玉を持ったりしている姿は、とても想像できない。
本人もその自覚があるらしく、全然静まらない雰囲気にイライラしたように舌打ちしながらも、役目に対しては真摯に向き合うタイプでもあるらしく、みんなに軽く頭を下げる。
「よろしくお願いしまっす。採寸するんで並んでください」
報復が怖いので、みんな面と向かって言いはしないが、「似合わねー」「意外―」と囁きあって一向に押上の言うように列を作らない中、すっと真っ先に動き出した奴の姿に、俺は少し驚いた。
(え? 中谷……?)
俺の隣に座っていた中谷は、ためらいもなく席を立って、押上の方へ歩いていく。
その横顔を見て、中谷は押上が家庭科部なことを知っていたんだなと思った。
全然驚いているふうがない。
「よろしく、押上くん」
「…………」
返事はしないものの、手慣れた手つきで、押上は中谷のサイズを測っていく。
(あいつらって、ギクシャクしてると思ってたけど、案外うまくやってるのかな?)
悠臣の代理出席のため、採寸の必要がない俺は、そんなことを考えながら、中谷と押上をずっと眺めていた。



