好きって言ったらキスしてくれる?

「宝田くーん。一緒に帰ろー」

 一日の授業が終わると、中谷と一緒に寮まで帰ることが日課になりつつあった。
 俺はB組、中谷はA組なのでクラスは違うのだが、教室は隣で、帰る先も同じ。だから特に問題はない。

 おとなしくてあまり話もしないイメージだった中谷は、俺に対しては物おじせずによくしゃべる。目線が同じくらいなせいもあるかもしれない。
 それに俺たちには、共通の話題がある。

「この間教えてくれた購買パンのチョコドーナツ、美味しかったよ」
「だろ? 甘すぎるってみんな言うんだけど、あれくらいが食った感あるよな」
「ねー」

 他の奴にはあまり共感してもらえない甘いものの話が、中谷とはできる。

「今度実家に帰った時、お気に入りのケーキ屋さんのロールケーキ買ってくるよ。さすがに一人で一本は無理かなって、寮で食べるのは諦めてたんだけど、宝田くんならつきあってくれるでしょ?」
「おう、もちろん!」

 俺の返事に、嬉しそうに足取りを軽くしていた中谷が、ふと歩くのをやめた。

「そうだ! 駅前にパフェの人気なお店があるんだけど……一緒に行ってくれる? 一人じゃ入りづらかったんだ」
「別にいいけど……」

 中谷の目がきらきらと輝きだす。

「今日、今からでもいい?」

 寮へ帰って特にやることもなかったので、俺は適当に頷く。

「ああ」
「じゃあ行こう!」

 先に立って歩き出す中谷は、いかにも嬉しそうで、人気のパフェというのが俺も楽しみだった。