「心配してると思うけど、隠しても仕方ないから、はい、成績表。」

 進路相談室で差し出された成績表には「2」と「3」がたくさん並んでいる。

 「まあ、1年生の頃よりは成績が下がっているけど、学年末にはもう少し上がるんじゃないかな? 僕の地理もたぶん「4」くらいまでは頑張れると思うよ。」

 「欠席は、大丈夫なんですか??」

 どこを見てもそれがわからなかった。数字で小さく書いてあるけど、それが大丈夫なのか、アウトなのか、判別がつかない。

 「うーん、『今は大丈夫』かな。」

 喉の奥から「ほ」が飛び出してくる。

 「今は(・・)ね。モノクロで見えにくいけど、欠席日数はほとんど赤字で書いてあるんだ。」

 たしかに。よーく見ると、欠席日数の数字はほとんど他の文字より若干薄い。

 「4月から9月までの授業日数に対して、2割以上の欠席をしているってことなんだ。2割っていうのは、進級が認められるラインね。」

 夏休みが1か月あったとして前期は5か月。そのうち1か月以上休んでいたのだから、単純に3割近く休んでいる。

 「欠席日数は休んだ分増えるけど、授業日数も増える。だから、大幅に休まなければ、2割は超えないんじゃないかなぁ? あくまで予想の話だけど。あ、でも…。」

 先生はいくつかの科目の欠席数を指さして続ける。その科目は薄く色が塗ってある。

 「保健と特活、LHR(ロング)だね、この2つはあと1回で進級ラインに載るから気をつけてね。他にも2単位ものが色々危ないけど、3回は余裕あるかな。」

 「あと1回」に身構える。今後も通院がなくなるわけではないし、今はない不調が出てきてもおかしくない。まだママが亡くなって3か月だから。

 「安心しきってどんどん休むのはいただけないけど、工藤さんなら大丈夫でしょ? 仮にラインを超えてしまっても、それはそれで補習とか手がある。どうにもならなくたって、別の高校ならやっていけるかも知れない。」

 いつか家に来てパパと話していたことだ。知っている。でも、不安なものは不安なのだ。

 「私、進級できますか? 卒業は??」

 先生はうなずいて、手元の資料を閉じた。

 「できるかはわからない。でも、するんだ。進級も、卒業も、進学も。」

 まっすぐ、何の疑いもない目で私を見つめている。

 「仮に僕のクラスから、この学校から離れることがあっても、僕は君を見捨てない。」

 面談の最後はいつもの軽い笑顔で、触れ合わないぬくもりをもらった。