花が散った青い春に何の意味があるのだろうか

◇◇◇

「おはよう翼」
「おー、おはよ白木(しらき)」

 翌日。教室に入れば、先に登校していた白木がこちらに気づいて声をかけてきた。隣の席の白木は俺の在籍するクラスの級長で、マドンナ的なポジションでもあった。品行方正、容姿端麗、才色兼備。なんだか四文字熟語ばかりが似合うような人だった。

「今日、進路希望調査の提出日だけど持ってきた?」
「…それまじ?」
「1週間ぐらい前から言われてたよ」
「あー、だから先生に昨日呼ばれたのか。海も教えてくれればよかったのに」

 俺がそう言うと、白木は何故か眉を寄せていた。何か変なことを言っただろうか。しかし、それを問うよりも先に他の女子生徒が白木に話かけたため、この話が続くことはなかった。
 
 程なくして、先生が入ってきた。いつも通り出席が取られる隙を見て、俺は机の中を必死に探っていた。

(確かここにしまったはず…)

「…これか」

 くしゃくしゃになった進路希望調査の紙を必死に伸ばす。なんとか記入できる程度に伸ばしたところで、先生がプリント回収の合図をかける。はい、終わり。

「間に合わねえ」
「そもそもそれ印鑑が必要な書類だよ」
「印鑑は持ってる」
「堂々とそういうこと言わないの」

 結局、進路希望調査は白紙のまま提出した。