花が散った青い春に何の意味があるのだろうか

「…なぁ、本来教師はこういうことに首を突っ込んじゃいけないんだが、1つ聞いてもいいか?」
「何ですか、そんなに予防線張って。いいですけど」

 階段を降りながら、先生はおもむろに言葉をかけてきた。あまりの予防線の張り方に違和感を覚えたが、その先の言葉も気になるため促す。
 すると先生は、駐車場から海を眺めたまま口を開いた。


「お前、水谷のこと恋愛感情で好きだったのか?」


 その言葉を聞いて、俺は目を見開いた。
 なんていうべきだろうか。きっとこの先生は何て答えても受け入れてくれるだろう。だからこそ、包み隠さず答えたい。

「先生には、俺らはどんな関係性に見えますか?」

 過去形ではなく、あえて現在形で聞いた。
 先生は俺の質問返しに少し黙った後、困った様子で答えた。

「正直に言えば、ただの親友ではないと思っていたよ。でも、恋愛感情かと言われると断言できない」

 そう言う先生は、チラリとこちらを見ただけですぐに海に視線を戻した。その反応に思わず笑ってしまう。

「……そうですね。まぁ、自分でも海には甘いと思いますよ。海が病気の影響で運動するのが厳しいから、俺も運動部に入らず帰宅部になっちゃうぐらいですし」
「頑なに部活に入らなかったのはそういう理由だったのか」
「運動するよりも、海と話す時間の方が楽しかったので」

 だから、


「この感情は俺自身でも何か分かっていません。ただ…俺は、自由に生きる海の翼でありたいんだと思います」


 それは、これからも変わらない俺なりの答えだった。

 思ったままのことをそのまま素直に話せば、納得したように頷かれた。