浅草に到着した四人を迎えたのは、人だかりだった。
浅草寺《せんそうじ》へ向かう仲見世は人でごった返していた。
「ここでは流石に写真は無理ね」
雅子が肩をすくめる。
「雅子」
晴人が、腕を差し出す。
「人が多い……」
雅子はニコリと笑って晴人と腕を掴んだ。
腕を組む二人に、明は固まるが、さっと恵子を見る。
恵子も、察したようでおどおどしながら俯いた。
「あの二人は、ああなので……。やらせておけばいい。とりあえず行きましょう」
明は、自分たちは何もしなくても良いのだと弁明のような事を言い、恵子の歩幅に合わせながら歩き始める。
しかし、恵子は落ち着かない。
やはり物珍しいと、腕を組む晴人と雅子をジロジロと行き交う人が見ていくからだ。
明は、晴人に舞踏会じゃないのだからと言いかけるが、雅子の歓声に打ち消される。
「あら、可愛らしい巾着。ちょっと見てもいいかしら?」
雅子は並ぶ店に夢中になっていた。
気になる品物があると、晴人を引き連れ立ち寄っている。
「あ、あの、恵子さんも、気になるものが有れば遠慮なく……」
明も、とっさに気を利かせた。
「い、いえ、私は……」
小さく答える恵子は、やはり、辺りを気にして落ち着かない。
奔放な晴人と雅子の様子に戸惑っているようだ。
「いや、まあ、あの二人は、仕方ないとして……」
はははと、明は笑って誤魔化した。
こうして、周囲の注目を浴びながら一行は仲見世を抜けて浅草寺にやって来た。
「まあ、多少人は写りこむけれど、それも味だと思って、撮りましょう!」
早速雅子がカメラを構える。
「いや、だから……」
散々撮っただろうにと明は言いたげだった。
「せっかくだから、四人で撮りましょうよ!誰か頼めないかしら?」
雅子が辺りを見回す。
「そうだな……」
晴人も人の流れを眺めた。
「では、あの方にお願いしてみたら?」
雅子が目を止めた先に、一人の男がいた。
「すみません」
雅子が声を掛けると、男は足を止めた。
「はい?」
「申し訳ないんですけど、このカメラで私たち四人を撮っていただけませんか?」
雅子がカメラを差し出す。
「ええ、構いませんよ」
男は快く引き受けてくれた。
「ありがとうございます」
雅子はカメラを渡し、撮り方を指示して、晴人の隣へ戻る。
「恵子さん、もっと明さんの隣へ」
雅子が言う。
「は、はい……」
恵子が明の隣へ並ぶが、やけにビクついている。
「恵子さん?」
明が声を掛ける。
「い、いえ……」
恵子は慌てて前を向いた。
「やっぱり四人で写真を撮るのが恥ずかしいですよね?目立っているし」
明が小声で尋ねる。
恵子は一瞬、目を見開いた。
「庭園でも人に見られて嫌そうだったでしょ?」
明は気を遣うように笑った。
「すみません。暫くの辛抱だと思って……付き合って頂ければ」
「……はい」
恵子は小さく頷いた。
「では、撮りますね」
男がカメラを構える。
「皆さん、もう少し寄ってください」
「ほら、恵子さん」
雅子が促す。
恵子は戸惑いながらも、明の隣へ少しだけ身を寄せた。
「はい、撮りますよ」
ぱちり。
「ありがとうございました」
「こちらこそ」
男はカメラを雅子へ返した。
雅子が笑顔で受け取る。
男は軽く会釈すると、人混みの中へ消えていった。
「さて、次はどこへ行きましょうか?」
「まだ、どこかへ行くつもりかい?というよりも、写真を撮るんだろ?」
明は、少し強い口調で雅子へ言った。
「恵子さんも、恥ずかしがってるし、そろそろお開きにしたほうがいい」
明は、ちらりと恵子を見ると続けた。
「あらっ!」
明の剣幕に雅子も恵子を見る。
「ごめんなさい恵子さん。私少し弾けすぎたようね」
「じゃあ、今日はここまで。どこかに寄ってあんみつでも食べて帰ろう」
晴人が提案する。
「ああ!晴人!そりゃあいい!恵子さん、甘いものでも食べに行きましょう」
写真撮影から逃れられたと、明はたちまちご機嫌になった。
こうして、休憩がてら、皆であんみつを食べに行ったのだった。
浅草寺《せんそうじ》へ向かう仲見世は人でごった返していた。
「ここでは流石に写真は無理ね」
雅子が肩をすくめる。
「雅子」
晴人が、腕を差し出す。
「人が多い……」
雅子はニコリと笑って晴人と腕を掴んだ。
腕を組む二人に、明は固まるが、さっと恵子を見る。
恵子も、察したようでおどおどしながら俯いた。
「あの二人は、ああなので……。やらせておけばいい。とりあえず行きましょう」
明は、自分たちは何もしなくても良いのだと弁明のような事を言い、恵子の歩幅に合わせながら歩き始める。
しかし、恵子は落ち着かない。
やはり物珍しいと、腕を組む晴人と雅子をジロジロと行き交う人が見ていくからだ。
明は、晴人に舞踏会じゃないのだからと言いかけるが、雅子の歓声に打ち消される。
「あら、可愛らしい巾着。ちょっと見てもいいかしら?」
雅子は並ぶ店に夢中になっていた。
気になる品物があると、晴人を引き連れ立ち寄っている。
「あ、あの、恵子さんも、気になるものが有れば遠慮なく……」
明も、とっさに気を利かせた。
「い、いえ、私は……」
小さく答える恵子は、やはり、辺りを気にして落ち着かない。
奔放な晴人と雅子の様子に戸惑っているようだ。
「いや、まあ、あの二人は、仕方ないとして……」
はははと、明は笑って誤魔化した。
こうして、周囲の注目を浴びながら一行は仲見世を抜けて浅草寺にやって来た。
「まあ、多少人は写りこむけれど、それも味だと思って、撮りましょう!」
早速雅子がカメラを構える。
「いや、だから……」
散々撮っただろうにと明は言いたげだった。
「せっかくだから、四人で撮りましょうよ!誰か頼めないかしら?」
雅子が辺りを見回す。
「そうだな……」
晴人も人の流れを眺めた。
「では、あの方にお願いしてみたら?」
雅子が目を止めた先に、一人の男がいた。
「すみません」
雅子が声を掛けると、男は足を止めた。
「はい?」
「申し訳ないんですけど、このカメラで私たち四人を撮っていただけませんか?」
雅子がカメラを差し出す。
「ええ、構いませんよ」
男は快く引き受けてくれた。
「ありがとうございます」
雅子はカメラを渡し、撮り方を指示して、晴人の隣へ戻る。
「恵子さん、もっと明さんの隣へ」
雅子が言う。
「は、はい……」
恵子が明の隣へ並ぶが、やけにビクついている。
「恵子さん?」
明が声を掛ける。
「い、いえ……」
恵子は慌てて前を向いた。
「やっぱり四人で写真を撮るのが恥ずかしいですよね?目立っているし」
明が小声で尋ねる。
恵子は一瞬、目を見開いた。
「庭園でも人に見られて嫌そうだったでしょ?」
明は気を遣うように笑った。
「すみません。暫くの辛抱だと思って……付き合って頂ければ」
「……はい」
恵子は小さく頷いた。
「では、撮りますね」
男がカメラを構える。
「皆さん、もう少し寄ってください」
「ほら、恵子さん」
雅子が促す。
恵子は戸惑いながらも、明の隣へ少しだけ身を寄せた。
「はい、撮りますよ」
ぱちり。
「ありがとうございました」
「こちらこそ」
男はカメラを雅子へ返した。
雅子が笑顔で受け取る。
男は軽く会釈すると、人混みの中へ消えていった。
「さて、次はどこへ行きましょうか?」
「まだ、どこかへ行くつもりかい?というよりも、写真を撮るんだろ?」
明は、少し強い口調で雅子へ言った。
「恵子さんも、恥ずかしがってるし、そろそろお開きにしたほうがいい」
明は、ちらりと恵子を見ると続けた。
「あらっ!」
明の剣幕に雅子も恵子を見る。
「ごめんなさい恵子さん。私少し弾けすぎたようね」
「じゃあ、今日はここまで。どこかに寄ってあんみつでも食べて帰ろう」
晴人が提案する。
「ああ!晴人!そりゃあいい!恵子さん、甘いものでも食べに行きましょう」
写真撮影から逃れられたと、明はたちまちご機嫌になった。
こうして、休憩がてら、皆であんみつを食べに行ったのだった。


