夏休みが終わったころ、小笠原はナイチンゲールから一通の招待状をもらった。
サマーゲームパーティーでのお礼をかねて、一緒に「バーベキューしませんか?」という誘いだった。
マタロウと行った有栖川邸では、すぐに庭に通された。
先に到着していた、あの『脳筋』小川が、頭にタオルを巻いて鉄板ですでに焼きそばを焼いている。
――へらさばきが見事で一瞬本職の人かと思ったのは、まあ黙っておく。
炭火では、女子みたいな顔立ちの平屋が、科学実験でもあるまいに、肉の焼け方や、トウモロコシの焦がし加減など、トングでくるくると微調整している。
――そんなことしなくても、誤差範囲で大体おいしくなるのがバーベキューだろう。が、これも黙っておいた。
初めて見る茶髪ロン毛ハーフアップのチャラそうな男子は、芝生の上で回るスプリンクラーを使って、チキンレースをしている。
すると、隣のマタロウが、
「あいかわらず、馬鹿なことばっかりやってんなー」
と愚痴りながらも、マシュマロ串を作っているツインテールの女子の傍に行き、さっさと手伝い始めている。
(まずい、俺も何かしなくちゃ)
ときょろきょろ見回すと、
「あ、スパロウ! よかった! 来てくれたんですね!」
水色のシャツワンピースに白いバンダナ柄のエプロンを付けたナイチンゲールその人が、笑顔で駆け寄ってきた。
あまりの神々しさに、一瞬よろめいたが、彼女に焼き菓子と花束を渡すと、
「うれしい」
と笑ってくれた。
それが、今日の午後の事だった。
賑やかな声が耳に残っている。
小笠原は、静かな自室の窓を開放して、望遠鏡を傾ける。
夏の星座を覗き込んだが、日中のまぶしさに目がやられたのか、いまいち集中できない。
夜空にぽっかりと浮かぶ月が、彼女の笑顔に重なった。
「アルテミス……」
――月の女神の名前を思わず呟いていた。
そんな自分が、心底恥ずかしくなって、小笠原は、めずらしく十二時前に眠りについた。
サマーゲームパーティーでのお礼をかねて、一緒に「バーベキューしませんか?」という誘いだった。
マタロウと行った有栖川邸では、すぐに庭に通された。
先に到着していた、あの『脳筋』小川が、頭にタオルを巻いて鉄板ですでに焼きそばを焼いている。
――へらさばきが見事で一瞬本職の人かと思ったのは、まあ黙っておく。
炭火では、女子みたいな顔立ちの平屋が、科学実験でもあるまいに、肉の焼け方や、トウモロコシの焦がし加減など、トングでくるくると微調整している。
――そんなことしなくても、誤差範囲で大体おいしくなるのがバーベキューだろう。が、これも黙っておいた。
初めて見る茶髪ロン毛ハーフアップのチャラそうな男子は、芝生の上で回るスプリンクラーを使って、チキンレースをしている。
すると、隣のマタロウが、
「あいかわらず、馬鹿なことばっかりやってんなー」
と愚痴りながらも、マシュマロ串を作っているツインテールの女子の傍に行き、さっさと手伝い始めている。
(まずい、俺も何かしなくちゃ)
ときょろきょろ見回すと、
「あ、スパロウ! よかった! 来てくれたんですね!」
水色のシャツワンピースに白いバンダナ柄のエプロンを付けたナイチンゲールその人が、笑顔で駆け寄ってきた。
あまりの神々しさに、一瞬よろめいたが、彼女に焼き菓子と花束を渡すと、
「うれしい」
と笑ってくれた。
それが、今日の午後の事だった。
賑やかな声が耳に残っている。
小笠原は、静かな自室の窓を開放して、望遠鏡を傾ける。
夏の星座を覗き込んだが、日中のまぶしさに目がやられたのか、いまいち集中できない。
夜空にぽっかりと浮かぶ月が、彼女の笑顔に重なった。
「アルテミス……」
――月の女神の名前を思わず呟いていた。
そんな自分が、心底恥ずかしくなって、小笠原は、めずらしく十二時前に眠りについた。



