探偵研究部。――カケラノセカイーー ③サマーゲームパーティー番外編 小笠原が見た風景

サマーゲームパーティー
第一章と第八章の裏側は、実はこうだった劇場

一.写真を撮り終えてからの一幕(第一章の裏側)

 ポーズを変えながら、何枚か撮ってもらい――。

「すみません。私のスマホでも撮ってもらえますか?」

 未知がにっこりと、カメラマンに水色のカバーのスマホを手渡した。
 反応よく何ポーズも決めてくれた探偵研究部の三人に、お礼とばかりにカメラマンのお兄さんはスマホを受け取る。

「はーい、こっちむいて。じゃあ、みんな笑ってー」

 カシャ!

 軽快なシャッター音が、古びたトタン屋根の部室に響いた。

「みんないい笑顔だった。おつかれさん」

 そういって、三脚と共にカメラマンのお兄さんは部室を出て行った。

「そういえば、高杉先輩と智子は? ここで撮るんじゃないの?」
「ああ、あいつらは、オカルト的な映えを狙って、校舎裏の柳の木のとこまで行くってよ」
「え? あの石碑のあるとこですか? ちょっと何か写りこんじゃいそう」

 そうして十分後……。

「やば――!」

 スマホを片手に、智子が駆け込んでくる。

「まじで、写った! マジもんだ!!」

 高杉まで興奮気味に駆け込んでくる。
「なにが……」と言おうとする三人を尻目に、

「大スクープ! これ早速、雑誌の『MUU』に送るから、じゃあな」

 高杉は荷物をまとめると、智子も「また明日ね!」と追いかけていく。

「お前ら……テスト勉強は……」

 小川は声をかけたが、もういない。
そのかわり、校舎裏から戻ってきたカメラマンのお兄さんが、真っ青な顔をして、ふらふらと歩いて行くのが見えた。

「えええええ……?」

 後から聞いた話によると、カメラマンさんは、あの後寝込んだそうだ。

******

二.天才と策士の、こんな駆け引きが展開されていた!(第八章の裏側)

「この子が、『ナイチンゲール』こと、有栖川美知さんです」

 小笠原の部屋で、平屋はスマホの画面をかざした。
 小笠原は、一瞬固まり、

「お……、おおおおおおおおお」

 と、平屋のスマホに食い入るように近づいた。

(その『お』は何?)という小川の突っ込みなど気にもしない平屋は、涼しい顔で、スマホの画面を胸元で隠した。

「ア、シマッタ。知ラナイ奴ニ、見セテイイカ、未知ニ聞イテナカッタ――」

 棒言葉を吐いて、小笠原を舐めつけるように見る。
 小笠原はあたふたと動き出した。

「っ! なんだよ! 見せてくれないのかよ!」
「う――ん。本人の了解がないんじゃなあ……」
「データをもらうなんて言ってないだろ! ちょっと見せるくらいいいじゃないか!」

「そうですよね」

 よそいきの最高の笑顔で、平屋は笑う。

「でも、こちらもタダってわけには……」

「! お前、顔の割に、性格悪いな!」

 思わず、小川は噴き出した。

「簡単なお願いですよ。この通信機、小笠原さんと一緒に、サマーゲームパーティーに持って行って欲しいんです」

 平屋はメッセンジャーバックから、小さな黒くて丸いプラスチックケースを取り出す。

「ぼくたち、残念ながら落選しちゃったので。できれば様子だけでも、音声で欲しいんです! スイッチは入れっぱなしでいいので!」

 小笠原は、平屋のスマホとそのケースを交互に眺める。

(欲しい。あの写真。ちらっと見たけど、想像に違わず、相当かわいかった)

「……わかったよ。カバンにいれておくだけだからな! ほら写真みせろよ!」

 平屋のスマホを奪うように見入る小笠原。
 一通り、赤くなったり、デレデレとにやけさせては、キリリと戻したりと百面相を披露したあと、彼が口を開く。

「このデータ、もちろん送ってくれるんだろ?」

 その言葉に、平屋は笑った。

「データヲモラウ了解ハ、本人カラ取ッテクダサイネ」