初恋ラプソディ

 ボクの、頬に。

 瑠花の唇が。

 ボクの……。

 

「……律?」

「…………」

「え、ちょっと」

「…………」

「律!?」

 鼻の下が熱い。

「血!!」

 瑠花が叫ぶ。

「え!? 殴られたせい!? 鼻まで!?」

「違う……」

「じゃあ何!?」

「知ら、ない」

「ティッシュ! ティッシュある!?」

 ボクは鼻を押さえながら、思った。

 たぶん。

 瑠花に、彼氏ができたって聞いたとき。

 なんであんなに変な気分になったのか。

 少しだけ、わかった気がする。

「律、大丈夫!?」

「……瑠花」

「何!?」

「近い」

「え?」

「顔」

「……あ」

 瑠花がボクの顔を覗き込んでいる。

 また近い。

「…………」

「…………」

 鼻血が増えた。

「律ぅぅぅ!?」

「だから近いって……!」

 この日。

 瑠花に彼氏はいなくなった。

 代わりに。

 ボクに――今までよりもずっと面倒な感情が、ひとつ増えた。