初恋ラプソディ

 静寂。

 ボクは目を閉じた。

 遅い。

 全部遅い。

「……え?」

 ママの声。

『だから瑠花、殴られたせいだと思ってめちゃくちゃ慌てたみたいなんだけど――』

「若葉さん」

 ボクは思わず口を挟む。

『あ、律くん?』

「それ以上言わなくていいです」

『え?』

「お願いします」

『でも瑠花が――』

「お願いします」

『……あ、うん』

 遅い。

 何もかも。


 ママが。

 ゆっくり。

 ゆっくり。

 こっちを向いた。

「律?」

「何」

「ちょっと待って」

「何」

「鼻血って……」

「えっと……殴られたから」

「違うじゃん!!」

 やっぱりそうなる。

「瑠花ちゃんにキスされて出たの!?」

「知らない」

「知らないわけないでしょ!」

「タイミングが重なっただけ」

「どんなタイミングよ!」

「偶然」

「頬にキスされて直後に鼻血出して偶然!?」

「あるよ」

「ないよ!!」

 パパを見る。

 助けて。

 さっき助けてくれたじゃん。

「パパ」

「……」

 パパは無言。