「うん。これで正解だ。最後は、試練というより作業だ。神聖樹に二人の魔力と血を捧げて、木が光を放てば完了だ」
「血なら分かるけど、魔力を捧げる?」
精霊の言葉に疑問を感じたセリスが、首を傾げて聞き返す。
「そう。二人の血と魔力が、神聖樹が判断する材料となる。君達の絆が強ければ魔力の相性も良いだろうからね。認められるはずだよ」
「魔力にも相性とかあるのかよ」
「あるよ。特に聖天魔法の使用者にはね」
(何なんだ。さっきからコイツの顔は…。)
ルアンは半信半疑といった様子の呟きを聞いた精霊は、物知り顔で答えた。
そんな精霊に、内心苛立つルアンを他所《よそ》にセリスが、精霊に最後の試練の方法を問う。
「捧げるってどうするの?」
「持ってきた実に魔力と血を注ぐんだ。それを神聖樹の幹に入れて。血は少量で良いからね。」
「分かった。やってみる。何か刃物とか切れそうな物はない?」
「はい。このナイフ使って」
「ありがとう」
セリスは、精霊から小刀ナイフを受け取ると、木の根元に実を置き、その上にナイフで人差し指を少し切って血を垂らした。
そして、その後に実を軽く握り魔力を注ぐ。
「ほら、ルアンも早く」
「分かってるって…」
セリスに急かされて、ルアンも魔力と血を注ぎ出す。先ほどのかすり傷から出ている血を指につけ、彼女の持っている実に触れ、魔力を流す。
その様子をじっと見ていた精霊は、何かを見極めると制止の声をかける。
「そろそろ、良いね。じゃ、その実を神聖樹の幹に埋めて」
精霊に促され、セリスは神妙な顔で頷くと実を神聖樹の幹に近づける。するとそれは、すぅ~と木に吸収されるように入っていった。
(えっ!?嘘でしょ!吸収された!?)
セリスが驚愕し、目を見開いていると
神霊樹が閃光を放ち出し、二人を包み込んだ。二人は何だか不思議な感覚を覚え、顔を見合わせる。
神聖樹から発せられる光が消えると同時に精霊が二人に声をかける。
「おめでとう。それで正式な聖天魔法の使い手だ」
「えっ?たったのこれで終わり?」
「良かったな…」
精霊に祝福の言葉を言われ、セリスがホッとしたような表情で呟いた。
そんな彼女にルアンは優しく微笑んだ。
「あと使いこなすには、君の頑張り次第だ。僕の役目はこれで終わりだ。じゃあね」
精霊は、そう言い残すと姿を消した。
ルアンとセリスは気が抜けて、その場に座り込むと、精霊が消えた方を見ながら話す。
「はぁ~流石に疲れたな…」
「あはは、休憩なしだったもんね。ごめんね、付き合わせて。」
ため息をつきながら言うルアンに、セリスは苦笑いを浮かべた。
「ところで、身体に変化はないのか?」
「うん、今の所は。」
「そうか。」
「あの、ルアン。試しに治癒魔法を使ってみたい。腕の傷治してみても良い?」
覚醒した実感が沸かないセリスは、恐る恐るルアンに尋ねた。
「お前、魔力は平気なのか?洗脳された時と、さっきの実の時とで魔力結構使ったんじゃないか?」
「ん~~?覚醒して魔力量が増えたからなのかな、それほどでもないよ」
「………。そうか。じゃあ頼む。」
「うん」
ルアンは逡巡した後、セリスに許可をした。
セリスは、笑って頷くと少しドキドキしながらも、自分の手に魔力と意識を集中させる。
すると、みるみるうちにルアンの腕の傷が塞がっていき、あっという間に治った。
「出来た!出来たよ!ルアン!」
「しかし凄いな、その魔法。こんなにすぐに治るのか…。ギルバードさんの治癒魔法以上だな。」
治癒魔法が使えた事が嬉しくて満面の笑みで言うセリス。ルアンは聖天魔法の妙妙たる力に関心し、セリスの頭を撫でた。
二人はもう時間も遅い事もあり、このまま此処で休み、翌日の朝に帰る事にした。
かくして翌日。
二人がセレスティア王国に戻ると、直ぐに国王のいる部屋へと行き、無事に覚醒した事を報告したのだった。
それからというもの、セリスは聖天魔法を使いこなす為に、魔法士としての仕事の傍ら、日々訓練を続けている。
静かな場所で汗を流しながら体内に流れる魔力に意識を向け集中する。
この日もセリスは瞑想をしていた。
静かに目を瞑る彼女を、少し離れた場所からルアンが腕を組み見守っている。
「セリス」
「ん?」
「そこまでにしとけ」
「もう少しだけ。」
「ダメだ。止めろ」
「お願い、あと少しやらせて。ダメ?」
「ダメだ。」
「はぁ、分かったよ。止めるよ」
暫く黙って見ていたルアンだが、息切れしはじめたセリスを止める為に声をかけた。
止められた彼女は膨れっ面で懇願するも、ルアンにそれを一蹴され、渋々中断した。
そして、離れているルアンの所へ向かう。
「根を詰めすぎても良くないだろ。」
「解ってるけど、でも折角覚醒させたんだし出来るだけ早く、使いこなせる様になりたい」
「気持ちは解るが…、頑張りすぎるなよ。」
「痛っ。もー!何するの!」
ルアンがセリスの額を軽く小突いた。
セリスは、小突かれた部分を手で押さえて、抗議の声をあげた。
彼は、そんなセリスに訝しげな目を向けて言う。
「本当に解ってるのか?無理するなよって言ってんだよ。身体保たねぇぞ。」
「うるさいな~。解ってるよ。それに無理はしてないって。」
「いーや、解ってねぇよ。お前、俺が止めなきゃ、このまま続けるつもりだっただろ。」
「えっ!いや~、それは…」
図星をつかれて、セリスは肩をギクッと揺らす。それを見て呆れた様にため息をつくルアン。
彼は、頑張り屋な所は彼女の良い所だと思っているし、そんな所も好きだ。
小さい頃は彼女に感化されて自分も必死になっていた時期がある。
しかし、頑張りすぎる節がある為、出来るだけ無理はさせたくないのがルアンの心情だ。
「ったく…。ほら行くぞ」
「行くって?」
「食堂だよ。もう昼だしな」
ルアンはセリスの手を引いて、鍛練場からセリスを連れ出すと、そのまま城の中央にある食堂へ向かった。
「血なら分かるけど、魔力を捧げる?」
精霊の言葉に疑問を感じたセリスが、首を傾げて聞き返す。
「そう。二人の血と魔力が、神聖樹が判断する材料となる。君達の絆が強ければ魔力の相性も良いだろうからね。認められるはずだよ」
「魔力にも相性とかあるのかよ」
「あるよ。特に聖天魔法の使用者にはね」
(何なんだ。さっきからコイツの顔は…。)
ルアンは半信半疑といった様子の呟きを聞いた精霊は、物知り顔で答えた。
そんな精霊に、内心苛立つルアンを他所《よそ》にセリスが、精霊に最後の試練の方法を問う。
「捧げるってどうするの?」
「持ってきた実に魔力と血を注ぐんだ。それを神聖樹の幹に入れて。血は少量で良いからね。」
「分かった。やってみる。何か刃物とか切れそうな物はない?」
「はい。このナイフ使って」
「ありがとう」
セリスは、精霊から小刀ナイフを受け取ると、木の根元に実を置き、その上にナイフで人差し指を少し切って血を垂らした。
そして、その後に実を軽く握り魔力を注ぐ。
「ほら、ルアンも早く」
「分かってるって…」
セリスに急かされて、ルアンも魔力と血を注ぎ出す。先ほどのかすり傷から出ている血を指につけ、彼女の持っている実に触れ、魔力を流す。
その様子をじっと見ていた精霊は、何かを見極めると制止の声をかける。
「そろそろ、良いね。じゃ、その実を神聖樹の幹に埋めて」
精霊に促され、セリスは神妙な顔で頷くと実を神聖樹の幹に近づける。するとそれは、すぅ~と木に吸収されるように入っていった。
(えっ!?嘘でしょ!吸収された!?)
セリスが驚愕し、目を見開いていると
神霊樹が閃光を放ち出し、二人を包み込んだ。二人は何だか不思議な感覚を覚え、顔を見合わせる。
神聖樹から発せられる光が消えると同時に精霊が二人に声をかける。
「おめでとう。それで正式な聖天魔法の使い手だ」
「えっ?たったのこれで終わり?」
「良かったな…」
精霊に祝福の言葉を言われ、セリスがホッとしたような表情で呟いた。
そんな彼女にルアンは優しく微笑んだ。
「あと使いこなすには、君の頑張り次第だ。僕の役目はこれで終わりだ。じゃあね」
精霊は、そう言い残すと姿を消した。
ルアンとセリスは気が抜けて、その場に座り込むと、精霊が消えた方を見ながら話す。
「はぁ~流石に疲れたな…」
「あはは、休憩なしだったもんね。ごめんね、付き合わせて。」
ため息をつきながら言うルアンに、セリスは苦笑いを浮かべた。
「ところで、身体に変化はないのか?」
「うん、今の所は。」
「そうか。」
「あの、ルアン。試しに治癒魔法を使ってみたい。腕の傷治してみても良い?」
覚醒した実感が沸かないセリスは、恐る恐るルアンに尋ねた。
「お前、魔力は平気なのか?洗脳された時と、さっきの実の時とで魔力結構使ったんじゃないか?」
「ん~~?覚醒して魔力量が増えたからなのかな、それほどでもないよ」
「………。そうか。じゃあ頼む。」
「うん」
ルアンは逡巡した後、セリスに許可をした。
セリスは、笑って頷くと少しドキドキしながらも、自分の手に魔力と意識を集中させる。
すると、みるみるうちにルアンの腕の傷が塞がっていき、あっという間に治った。
「出来た!出来たよ!ルアン!」
「しかし凄いな、その魔法。こんなにすぐに治るのか…。ギルバードさんの治癒魔法以上だな。」
治癒魔法が使えた事が嬉しくて満面の笑みで言うセリス。ルアンは聖天魔法の妙妙たる力に関心し、セリスの頭を撫でた。
二人はもう時間も遅い事もあり、このまま此処で休み、翌日の朝に帰る事にした。
かくして翌日。
二人がセレスティア王国に戻ると、直ぐに国王のいる部屋へと行き、無事に覚醒した事を報告したのだった。
それからというもの、セリスは聖天魔法を使いこなす為に、魔法士としての仕事の傍ら、日々訓練を続けている。
静かな場所で汗を流しながら体内に流れる魔力に意識を向け集中する。
この日もセリスは瞑想をしていた。
静かに目を瞑る彼女を、少し離れた場所からルアンが腕を組み見守っている。
「セリス」
「ん?」
「そこまでにしとけ」
「もう少しだけ。」
「ダメだ。止めろ」
「お願い、あと少しやらせて。ダメ?」
「ダメだ。」
「はぁ、分かったよ。止めるよ」
暫く黙って見ていたルアンだが、息切れしはじめたセリスを止める為に声をかけた。
止められた彼女は膨れっ面で懇願するも、ルアンにそれを一蹴され、渋々中断した。
そして、離れているルアンの所へ向かう。
「根を詰めすぎても良くないだろ。」
「解ってるけど、でも折角覚醒させたんだし出来るだけ早く、使いこなせる様になりたい」
「気持ちは解るが…、頑張りすぎるなよ。」
「痛っ。もー!何するの!」
ルアンがセリスの額を軽く小突いた。
セリスは、小突かれた部分を手で押さえて、抗議の声をあげた。
彼は、そんなセリスに訝しげな目を向けて言う。
「本当に解ってるのか?無理するなよって言ってんだよ。身体保たねぇぞ。」
「うるさいな~。解ってるよ。それに無理はしてないって。」
「いーや、解ってねぇよ。お前、俺が止めなきゃ、このまま続けるつもりだっただろ。」
「えっ!いや~、それは…」
図星をつかれて、セリスは肩をギクッと揺らす。それを見て呆れた様にため息をつくルアン。
彼は、頑張り屋な所は彼女の良い所だと思っているし、そんな所も好きだ。
小さい頃は彼女に感化されて自分も必死になっていた時期がある。
しかし、頑張りすぎる節がある為、出来るだけ無理はさせたくないのがルアンの心情だ。
「ったく…。ほら行くぞ」
「行くって?」
「食堂だよ。もう昼だしな」
ルアンはセリスの手を引いて、鍛練場からセリスを連れ出すと、そのまま城の中央にある食堂へ向かった。


