Embrace it all―すべてを抱いて、生きていく―


*

 半年後。

 久しぶりに、亞紗斗さんと予定が合った。

 本当に、久しぶりだった。



 あたしは地方のイベント出演を終えて、その翌日が午前移動。
 亞紗斗さんは同じ街で、別のアーティストのライブにサポートヴァイオリニストとして出演していた。

 同じ県内にいる。

 たったそれだけのことなのに。


「会えるかもしれない」



 そう思った瞬間から、落ち着かなかった。

 仕事が終わってケータイを見ると、亞紗斗さんからメッセージが一件。


『終わった。そっちは?』

 短い。

 いつも通り。

『あたしも終わった!』

 送った直後。

『ホテルはどこだ』

 一瞬、どきりとした。


 場所を伝えると――『今から行く』

 それだけ。

「…………」

 思わず口元が緩んだ。

 たった五文字で、こんなに嬉しくなるなんて。
 
 我ながら単純だと思う。